ビリヤードの最初のショットはブレイクショットですが、ナインボールにおいて、その最初のショットで9番がポケットして勝利することを、ブレイクエース、といいます。
しかし、9番だけでなく、すべての球をブレイクのみで入れることは可能なのでしょうか。
1. これまでの統計
結論から言うと、無理です。
ビリヤードの統計データをみると、今まででブレイク時のポケット球数最高は6個で、9個というのは統計上見当たりません。
2. 全部入れることを狙っているのか
では、上級者やプロは、ブレイクショットですべての球を入れる練習をしたり、本番でそれに挑戦したりしているのでしょうか。
答えは、していません。
なぜでしょうか。
それは、優先度の問題です。
9個すべての球を入れようとすると、間違いなく相当ハードなブレイクショットを撞く必要があります。
そのための練習は、ある意味筋トレ等に近くなってくるでしょう。
他の練習をすべて筋トレに費やして、数年間やり続ければ、理論上全部入れは不可能では無いのかもしれません。
しかし、そこにかかる時間、労力等を考えると、あまりにも効率が悪すぎます。
ビリヤードの競技は、他のスポーツと同じく、勝つことが優先事項です。
ナインボールにおいて勝つことは、9番を入れることです。
9番を入れて勝つという手段で、もっとも確率の高い方法を選択するのがスマートなやり方です。
ブレイクショット後、一つ以上の的球がポケットされて、そのまま9番までミスなく撞ききることをランアウト(日本語ではマスワリ)と言います。
ランアウトはプロの試合では当たり前のように起こり、練習して上達すれば、たどり着ける技能であることは証明されています。
全部入れでも、ランアウトでも勝ち、ということならば、後者の為の練習をしたほうが圧倒的に効率が良いのです。
3. ハードブレイクを撞く理由
それならば、プロの試合で見かけるハードブレイクは何のためにしているのか、ということになります。
ハードブレイクは、全部入れにいっているわけではなく、できるだけ的球をバラけさせ、的球同士が固まらないようにしているのです。
的球同士が離れていれば離れているほど、ランアウトできる可能性も高くなります。
また、ブレイクショットではポケットした的球とヘッドストリングを超えた的球の合計数が3以上でないといけない、というスリーポイントのルールが適用される大会も多くなりました。
これらの理由により、ハードブレイクの練習もどうしても必要となります。
4. ブレイクショットも正確に
結局、ブレイクショットも、フットスポットにある球に厚く強くあてる、という正確さが肝です。
全部入れる、という夢の様なショットを練習するよりも、上述した練習をするほうが、上達ははるかに早いでしょう。