ブレイクは、ビリヤードの最初のショットなので、それ特有のルールが定められています。
基本的なルールから、複雑なルールまで見ていきましょう。
また、練習時もルールをしっかり守って練習することが上達の近道です。
1. ラック、手玉の位置
的球を固めて置きますが、このかたまりをラックと呼びます。
ビリヤードの大きな大会ではレフェリーがラックを組んでくれますが、普段はプレイヤーが組みます。
ナインボールを含めた多くのゲームでは、1番をフットスポットに置きます。
また、ラックの中心(ナインボールならば9番)と1番を結ぶ直線が長クッションと平行になるようにラックを組みましょう。
続いて手玉の位置ですが、ヘッドスポットを通過するヘッドラインというラインよりもラックと反対側のエリアならば、どこから撞いても構いません。
ルールではありませんが、一般的には左右どちらかのレール近くからブレイクをするプレイヤーが多いようです。
理由は、レールブリッジを組みやすいことと、対称性のラックに対してまっすぐ撞くことによる、バラけ具合の少なさを軽減するためです。
上達のためにも、練習では上級者を真似て、レール近くからブレイクショットを撞いてみてください。
2. ブレイクショット
ブレイクショットでは、手玉を1番に当てることがルールです。
また、ブレイク後にポケットした球の数と、ヘッドストリングを超えた球の合計数が3以上にならないといけないという、スリーポイントルールがあります。
これは、故意にソフトなブレイクを撞いて、スムーズな競技進行の妨げにならないように設けられたルールです。
3. プッシュアウト
ビリヤードのブレイクショットにおけるルールで、最も戦略的に面白いルールがプッシュアウトです。
ブレイクショット後、的球が一つ以上入ればブレイクを撞いた人の番、一つも入らなかったら相手の番になりますが、どちらの場合でも、プッシュアウトはブレイク後の最初に撞くプレイヤーのみに与えられた権利です。
プッシュアウトを宣言した場合、そのプレイヤーはその回に限って、ファウルショットをしても構いません。
台上にある最小番号の的球にあてるのが通常ルールですが、プッシュアウトした場合は、他の球にあたっても、一つの球にも当たらなくてもファウルになりません。
その後順番は相手に周りますが、プッシュアウトコール後に回ってきた回では、通常通りにショットをするか、パスするかを選択できます。
戦略的な見地で考えてみましょう。
ブレイク後に自分の番の時に、最小番号の球と手玉の配置が、ポケットするにもセイフティーにいくにも難しい配置だったとします。
この場合、プッシュアウトをコールして、手玉を「比較的撞きやすい配置」に持ってきます。
ここが肝で、あまりに簡単な配置にしてしまうと、相手プレイヤーに簡単にポケットされてしまいます。
しかし、あまりにも難しい配置にすると、パスされてしまうのです。
つまり、難しいけれども、自分ならなんとかポケットできる、またはセイフティーにもっていける、というギリギリの配置を相手に残すのがベストです。