ビリヤードをプレーしていて一度は思ったことのある、ブレイクショットで的球が一発で全部落ちてくれたら楽なんだけどなぁという考え。
実際のところそんなことができるまで上達できるのでしょうか。
1. 理論的にはできる
結論から言いますと、理論上は一発でポケットできますが、現実的には非常に難しいといわざるを得ません。
まず、6つのポケットをそれぞれ1.5倍ほど大きくします。
その上で、時速50kmほどのキュースピードのブレイクショットを撞きます。
的球がクッションに入る数が多くなるほどポケットに向かっていく確率は高まるので、超人的なスピードのブレイクショットが必要となります。
そして、大きな運が必要です。
ブレイクショットのキュースピードは、プロでも40kmに到達したらハードブレイクと言われています。
50kmとなると機械に頼らなければいけなくなりますし、ポケットを1.5倍に広げるとなるとビリヤードはとてもつまらなくなります。
このように見ていくと、一発で全ての的球を入れるのは非現実的だということがおわかりいただけるかと思います。
2. トリックショットでなら
ブレイクショット時に一発ですべての的球をポケットに入れる方法がたったひとつだけあります。
トリックショットです。
少なくとも4人くらいの協力者が必要で、前もって何をするのかを伝えておきます。
観客はたくさんいた方がいいですね。
ビリヤード台の周りに観客を集めて、そのなかに協力者も紛れ込ませます。
「これからブレイクショットをして、一発で全ての的球を入れます」と宣言をします。
普通にブレイクショットを撞きます。
すると、周りの協力者が散らばった的球を手でポケットに入れていくのです。
このトリックショットには前提があって、普段から強力なブレイクショットの持ち主でないとつとまりません。
この人なら本当にできるかも、と思わせて実は手で入れましたというオチになり、とても盛り上がります。
このショットは実際にあったもので、1990年代に世界一強烈なブレイクショットの持ち主だった、フィリピンのフランシスコ・ブスタマンテ選手がビリヤードのイベントで披露したものです。
協力して楽しそうに的球を手でポケットに落としていくのも世界のトッププロたちという画面が印象的です。
このエピソードからも、ブレイクショットを撞いて一発で全ての球をポケットに入れるのがいかに難しいかがお分かりになると思います。
世界のトッププロたちですら茶化してしまうほどなのですから。
一発で全て入れるよりも、一個一個的球をとりきった方がはるかに楽ですし、そちらの上達を目指した方が得策と言えそうですね。