ビリヤードでひねりが難しい理由の一つに、スロウという現象があります。
これは、球同士の摩擦が球の行く方向に影響を与える現象で、横回転を利用するひねりでは無視できません。
1. スロウとは
ビリヤード台のポケットは、おおよそ球2つ分の幅があります。つまり、球2つ分の誤差ならば、ポケット可能ということです。
逆に考えれば、球2つ分以上の誤差が出ると、ミスショットとなります。また、サイドポケットのアングルによってはより誤差が許されなくなります。
スロウとは、手玉と的球が衝突した時に、その間に発生した摩擦によって、理論上向かうはずの方向に誤差が生じる現象です。
つまり、ビリヤードではどんなショットでも厳密に言えばスロウは発生しています。
その誤差が、上述した誤差内で収まっていれば問題ありません。
しかし、上達していけば、必ずひねる状況でのショットが必要とされます。
そして、手玉に鋭い横回転をかけるひねりの場合は、その誤差内で収まらないほど球の方向が変わってしまうのです。
2. ひねりとスロウの関係
どんなひねりをかけると、どんなスロウが表れるのでしょうか。
手玉を的球の左にあてる場合に、撞点が左、つまり左回転をかけることを順ひねりといいます。
逆に、手玉と的球の左にあてる場合、撞点が右だと逆ひねりと呼ばれます。
手玉を的球の左にあてた場合、おおまかに言えば衝突後の動きは、手玉が左方向、的球が右方向です。
この場合に順ひねりをかけると、衝突の摩擦を打ち消す方向に回転がかかるので、理論上の方向に近づくことになります。
逆ひねりの場合は、この衝突の摩擦が大きくなる方向に回転をかけることになるので、理論上の方向から大きくずれます。
2. スロウを考慮したひねりの練習
上述した、理論上の方向からどのくらいずれるか、ということを身体で覚えないと上達がのぞめません。
最初の練習では、手玉と的球を、あまり角度がついていない、距離もあまり離れすぎていないように配置します。
この状態でタップ0.5個分くらいから順ひねりを練習します。
ひねりは、ショットスピードでもその回転速度が変わり、結果スロウの影響も変わるので、撞点とショットスピード、スロウの関係をしっかりと身につけましょう。
順ひねりに比べ、逆ひねりはより方向がずれるので、どのくらいずれるのかの予測(見越し)がより困難です。
また、順ひねり、逆ひねり共に、角度をつければつけるほど、スロウの影響も大きくなっていきます。
角度がついた球のが配置は、ただでさえポケットが難しいので、上達の度合いを見ながら練習してください。